第5話「秘密基地!?旧部室が紡の家」
運命の日まで後8日。
病院に戻った咲は医師と両親に、こってり絞られた。
舞、満、薫も一緒に謝ったが、結局二日間の検査入院をする事となった。
咲と舞は、紡に自分達の自宅に泊まる事を勧めたが、紡は過去の人間への影響を出来るだけ減らす為、それは出来ないと断った。
すると咲は、ソフトボール部の旧部室に泊まる事を提案した。
春の地方大会で優勝し、全国大会でも活躍した夕凪中学校ソフトボール部には新入部員が殺到し、今までの部室では手狭になってしまった。
その為、現在休部している他の部室を改装して使う事となった。
夏休み前には既に部室の改装が終わり、新しい部室への引越しは終わっていたが、旧部室の鍵はキャプテンの咲が預かったままになっていのだ。
舞、満、薫、チョッピ達は、咲から預かった鍵を使って部室の掃除を行っていた。
人目を避けて学校に来た紡も掃除を手伝っている。
そこに検査の合間を縫って、病院から抜け出した咲がやってきた。
舞「咲、また病院抜け出して…」
満「昨日あんなに怒られたばかりでしょ」
咲「だって、病院って検査ばっかりで暇なんだよね~」
咲の来訪によって、掃除の手を休めていた紡に咲が声を掛けた。
咲「部屋は、ちょっと暑いけど、シャワー室は部室の隣にあるから、それを使っちゃって」
舞「家に使わなくなった扇風機があるから、後で持って来るわ」
紡「皆さん、色々ありがとうございます」
紡は、みんなに頭を下げた。
咲「何言ってんの。紡は私の命の恩人なんだから」
咲が片付けられた旧ソフトボール部の部室を見回す。
咲「それに何か、秘密基地みたいで、ちょっと楽しいよね!」
その言葉にムープとフープが反応した。
ムープ「秘密基地ムプ~!」
フープ「何かワクワクするププ~!」
そう言ってムープとフープは、はしゃぎながら部室の中をくるくる飛び回った。
舞「そう言えば、お兄ちゃんも小さい頃、よく秘密基地作ってたわ」
咲「え!?和也さんが!和也さん…」
舞「そう言えば、紡さんはこっちで何処に住むつもりだったの?」
上の空の咲を尻目に舞が紡に尋ねた。
紡「何処かで野宿するするつもりでした」
咲舞「野宿~!?」
紡「はい。サバイバル術は先生…、あ、薫さんから教わっていましたから」
紡は薫の顔を見て、薫の呼び方を変えた。
長年、先生と呼んでいた薫を呼び捨てにする事は、紡にとって、かなり抵抗がある様だった。
咲「薫~。ちょっと、スパルタ過ぎるんじゃないの?」
薫「え?わ、私に言われても…」
そう言われた薫も困り顔だった。
舞「まるでマンガの「サバイバル」ね!」
咲「サバイバル?」
舞「お兄ちゃんの持ってるマンガで読んだの。中学生が一人で大地震後の世界を生き抜く話なの」
薫「私も読んだわ。ザリガニを食べると目にいいらしいわ」
咲「え~!?紡、ザリガニ食べるの~!?私には絶対に無理だよ~」
紡「ザリガニは食べませんが、携帯用の食料は用意してありますので、心配ありません」
その時、部室の掛け時計が咲の目に入った。
咲「わ!もうこんな時間!早く病院に戻らなくちゃ!じゃあ、みんな後は宜しくね!」
そう言うと咲は駆け足で旧部室を後にした。
フラッピ「咲~!フラッピを忘れてるラピ~」
フラッピが慌てて咲を追いかけていった。
満「うふふ…。もう心配する必要はなさそうね」
舞「何だか、以前の咲よりも元気になったみたい」
薫「これも紡のお陰ね」
紡「いえ…」
ムープとフープの手伝いと言う名の邪魔もあったが、使い古されていた部室も、かなりきれいになった。
満「じゃあ、私はお店の手伝いがあるから、そろそろ帰るわね」
舞「私は家から扇風機を持ってくるわ。後、敷布団も必要ね」
薫「私も手伝うわ」
紡「色々とありがとうございました」
紡は深々と頭を下げた。
舞「何言ってるの。私達、友達じゃない」
紡「友達…」
満「そうよ。友達の為に動くのは楽しいじゃない」
薫「そうね。人に喜んでもらうと、自分も嬉しくなるものね」
紡「…」
舞「じゃあね、紡さん」
そう言うと、それぞれソフトボール部の旧部室を出て行った。
旧部室の中は紡一人になった。
紡は旧部室の中を見回す。
ロッカーとイスがあるだけで、コンクリート剥き出しの壁。
殺風景な部屋だったが、紡にとっては不快な空間ではなかった。
紡「(何だか懐かしい…。まだ、あれから数日しか経っていないのに…)」
紡は未来での暮らしを思い出していた。
地下での生活だったが、彼女の暮らしていた場所には、照明とはいえ明かりがあった。
そして、薫、博士という家族もいた。
紡「先生…、お兄ちゃん…」
博士から指示された第一の目的、咲の病の治療には成功した。
これで未来は変わった。
しかし、プリキュアがネオ・ダークフォールに敗れれば、今までと同じ闇の未来が訪れるには変わりない。
まだ、未来を取り戻す第一歩に過ぎないのだ。
オフィスを思わせる空間。
しかし、無機質で温かみのない冷たい空間である。
そのオフィスの中にある部屋の一つにネオジムの姿があった。
ネオジムはイスに座り、机の上に置かれた書類に目を通していた。
その左手にはダンベルが握られている。
その部屋の扉が突然開き、イリジウムが入ってきた。
イリジウム「ネオジム!」
イリジウムの表情は怒りに震えていた。
ネオジム「イリジウムか!久しぶりだな!」
それを意に介さず、ネオジムは手にしていた書類を閉じて机に置き、イリジウムと向き合った。
そして、左手に持っていたダンベルを右手に持ち替える。
イリジウム「プリキュアと戦ったそうだな…。貴様はヨーロッパ担当だろう!ここの事に口を挟まないでもらいたい…!」
ネオジム「ああ、ヨーロッパはもう既に片付いたよ。他の大陸にいた幹部も、もう直ぐここに全員揃うそうだ」
イリジウム「何だと…っ!」
ネオジム「そう言うお前も陰で、こそこそ何か調べているそうではないか」
イリジウム「(カーボニウムか…。あのクズがっ!)」
ネオジム「五人目のプリキュアの話…、お前も聞いているだろう?」
イリジム「ああ…。私も見たが、他のプリキュアとは少し雰囲気が違っていたな…。それに、あのプリキュアが使っていた力が少し気になってな…」
イリジウムは、ネオジムの言葉で冷静さを取り戻したのか、いつもの落ち着いた口調に戻っていた。
ネオジム「フハハハハ…!相変わらず細かい事を気にする男だな!」
イリジウム「気になる事は調べずにはいられない性分でね(脳味噌まで筋肉で出来てる貴様には分かるまい)」
ネオジム「だが、そこがお前の良い所だな!俺には真似出来ん!」
イリジウム「…」
それまで豪気に話していたネオジムが神妙な面持ちで語り始めた。
ネオジム「まあ、何はともあれ断罪の日は近い。我らの本願を忘れるなよ」
イリジウム「分かっている(この筋肉馬鹿と話しているだけ時間の無駄か…)」
そう言うとイリジウムは踵を返し部屋から出て行った。
ネオジム「フ…」
?「ムヒヒヒ…、怖いね~、イリジウムちゃんは」
何処からともなく、ネオジムの部屋にカーボニウムが現れた。
カーボニウム「俺様もプリキュアってのが気になってきちゃったよ!あの冷静沈着なイリジウムちゃんが、あれ程熱くなるとはね~。ウヒャヒャヒャヒャ…」
ネオジム「チョッカイ出すと、イリジウムが黙っていないぞ」
ネオジムはカーボニウムと目を合わせる事もなく、ダンベルを再び左手に持ち替え、イリジウムが来る前に目を通していた書類を再び手に取った。
カーボニウム「大丈夫、大丈夫!バレる頃には幹部全員揃って、それ所じゃなくなってるよ!ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャ…」
ネオジム「お前も我らの本願を忘れるな」
カーボニウム「ヘイヘイ…」
そう言いながらカーボニウムは、空間に開いた黒い穴の中へと消えていった。
ネオジムは、最後までカーボニウムとは一度も目を合わせようとはしなかった。
チョッピ「舞~。嫌な感じがするチョピ…」
舞と薫が自宅で使わなくなった扇風機と敷布団を、ソフトボール部の旧部室に持ってきた時の事だった。
舞「ネオ・ダークフォールね…。行きましょう!」
薫と紡が頷いた。
超「チョー、ウザイナ~」
超ウザイナーが夕凪の海岸沿いを通る県道で暴れていた。
その姿は岩石で出来た、如何にも硬そうなイメージの超ウザイナーだった。
人々は車を捨て、悲鳴を上げながら逃げ戸惑っている。
カーボニウム「いいぞ、いいぞ!超ウザイナー!でっかい狼煙を上げてやりな~!早く来い来い、プリキュアちゃん!ムヒヒヒヒ…」
超「チョー、ウザイナ~」
超ウザイナーに踏み潰された車から火の手と黒煙が立ち上がる。
咲「そこまでよ!」
カーボニウム「ん~?」
カーボニウムが振り返ると、そこには五人の少女が並んで立っていた。
咲達がミックスコミューンを構える。
咲舞満薫「デュアル・スピリチュアル・パワー!」
紡も腰のポーチからピンクリップを取り出す。
紡「フェアリーリップ・メイクアップ!」
咲「花開け大地に!」
舞「羽ばたけ空に!」
満「未来を照らし!」
薫「勇気を運べ!」
咲「輝く金の花、キュアブルーム!」
舞「煌く銀の翼、キュアキーグレット!」
満「天空に満ちる月、キュアブライト!」
薫「大地に薫る風、キュアウィンディ!」
紡「自然と科学のコンダクター、フェアリーリップ!」
咲舞満薫「プリキュア・スプラッシュスター!!!!」
舞「聖なる泉を」
薫「汚す者よ!」
満「阿漕な真似は」
咲「お止めなさい!」
カーボニウムがプリキュア達に拍手を送る。
カーボニウム「お~、アンタらがプリキュアか~!俺様の名はカーボニウム6(シックス)、カーボンって呼んでくれ!宜しくな!ムヒヒヒ…」
咲「呼ぶ訳ないでしょ!」
舞「罪もない人達を傷つけるのを止めて!」
カーボニウム「罪もない人達ね~、それはどうかな?」
舞「え?」
その時、ウィンディが何かに気付いた。
薫「みんな!あれを見て!」
超ウザイナーによって壊された車から漏れたガソリンが、道沿いにあるガソリンスタンドに流れ込み、そのガソリンを炎が追っていた。
その炎がガソリンスタンドに辿り着けば、大惨事は免れない。
満「急いで消さないと大変な事になるわ!」
その時、フェアリーリップが声を上げた。
紡「それは私に任せて下さい!」
そう言うとフェアリーリップは、ポーチからレッドリップを取り出した。
紡「レッドリップ・メイクアップ!」
フェアリーリップが赤いリップを引くとコスチュームの一部がピンクからレッドに変わった。
紡「火の精霊よ!力を貸して!」
その声に応えるかの様にガソリンスタンドへ向かっていた炎がフェアリーリップの空に向けて突き出した人差し指の先に生き物の様に引き寄せられた。
それはまるで、指で糸を手繰り寄せてる様だった。
フェアリーリップに集まってくる炎は一つではなかった。
他の壊された車から出ている炎までもフェアリーリップの指先に集まっていく。
そして、フェアリーリップの指先に集まってきた炎が回転し、徐々に球体へと変化していった。
フェアリーリップの指先で渦を巻く炎の球体は、まるでバスケ選手がバスケットボールを人差し指で回している様にも見えた。
咲「凄いよ!フェアリーリップ!」
紡「はぁーっ!」
フェアリーリップは掛け声と共に指を振り下ろす。
すると、指先で火球となっていた炎が、大砲の弾の様にカーボニウムと超ウザイナーに飛んでいった。
カーボニウム「ウヒョ~!あっぶねぇ~な~!」
カーボニウムは、その炎球を当たる直前で避けたが、超ウザイナーの身体には直撃した。
超「チョ、チョ~、ウザイナ~」
火球の直撃を受け、超ウザイナーの身体が燃え上がった。
熱さを感じるのか、身体で燃える炎への恐怖か、超ウザイナーがのた打ち回っている。
その隙をブルームとイーグレットが突いた。
咲舞「たあ~!!」
超ウザウナーの燃えている身体に二人の蹴りが直撃した。
超「チョ、チョ~、ウザイナ~」
二人の蹴りによって吹き飛ばされた超ウザイナーが、両脇のガードレールに挟まれる様に道路に沿って転がっていった。
カーボニウム「お~、転がる、転がる!ウヒャヒャヒャヒャ…!」
自らが呼び出した超ウザイナーがやられているというのに、カーボニウムは超ウザイナーの転がっていく様を見て、他人事の様に笑っていた。
超ウザイナーの動きに気を取られているカーボニウムの死角からブライトとウィンディがパンチを繰り出す。
満薫「たあー!」
しかし、カーボニウムは振り返る事もなくブライトとウィンディの腕を掴み取った。
満薫「な!?」
そして、その二人の腕を引き寄せる。
ブライトとウィンディの目の前にカーボニウムの顔が迫った。
カーボニウム「ほほ~、結構可愛い顔してるじゃねぇか!」
そう言うとカーボニウムはウィンディの顔を舌で舐め上げた。
薫「えっ!」
咲舞満「ウィンディ!!!」
ブルームとイーグレットが超ウザイナーを吹き飛ばした蹴りをカーボニウムの腹部に入れた。
しかし、吹き飛ばされたのはブルームとイーグレットだった。
咲舞「きゃー!!」
カーボニウム「おいおい、今この娘達を味わってるんだから、もうちょっと待ってろよ。え!?」
満「たたたたたたたたた…!」
ブライトが片腕を掴まれたまま、カーボニウムにキックの連撃を入れる。
満「ウィンディ!しっかりして!」
ブライトの声で我に返ったウィンディも片腕を掴まれたまま、それに加わる。
だが、カーボニウムは全く怯む様子もない。
紡「木の精霊よ!」
グリーンリップを使ったフェアリーリップの声に応えた街路樹の蔦が複数伸び、カーボニウムの顔に巻き付いた。
その蔦はカーボニウムの顔に何重にも顔に巻き付く。
その顔はまるでミイラ男の様だった。
カーボニウム「やれやれ…、これじゃあいい男が台無しだよ…。ええ!?」
カーボニウムの顔に巻き付いた蔦の中から声が響いた。
そう言うと掴んでいたブライトとウィンディを地面に叩きつけた。
満薫「がっ!!」
背中から地面に叩きつけられたブライトとウィンディの表情が歪む。
そして顔に絡み付いた蔦を一瞬で引き千切ったカーボニウムがフェアリーリップを見た。
カーボニウム「アンタがイリジウムが言ってた女か…。可愛げがねえな…」
カーボニウムの殺意の宿った眼光がフェアリーリップを襲う。
紡「くっ!」
今までの雰囲気とは全く異なるカーボニウムの鋭い眼光に、フェアリーリップは思わず構えてしまった。
超「チョー、ウザイナ~」
その時、ブルームとイーグレットに蹴り飛ばされた超ウザイナーが走りながら戻ってきた。
カーボニウム「おっ、いけね、いけね!今日は様子を見に来ただけだった。長いしてると、またイリジウムちゃんに怒られちまうよ。後は任せたぜ~」
先程の殺意が嘘の様に元の表情に戻ったカーボニウムは、空間に黒い穴を作り、その中に消えていった。
カーボニウム「またな、プリキュアちゃん!ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャ…」
空間の穴の中から、そう言って手を振った。
満薫「くっ!!」
紡「…」
咲「ブライト!」
舞「ウィンディ!」
カーボニウムに叩きつけられたブライトとウィンディの下にブルームとイーグレットが駆け寄る。
満「私達は大丈夫」
薫「それより超ウザイナーを」
紡「木の精霊よ!」
フェアリーリップが超ウザイナーを蔦で絡めとろうとしているが、超ウザイナーに悉く弾かれている。
舞「フェアリーリップ!」
プリキュアが孤軍奮闘していたフェアリーリップに合流する。
紡「ブライト、ウィンディ、大丈夫ですか!?」
満「大丈夫」
薫「助かったわ。ありがとう」
咲「みんな、行くよ!」
舞満薫紡「ええ!!!!」
フェアリーリップの蔦攻撃の合間を縫ってブルーム達が攻撃する。
咲「(何だろう…?)」
舞「(この感じは…)」
ブライトとイーグレットはフェアリーリップとの初めての共闘にも関わらず、阿吽のコンビネーションを発揮していた。
フェアリーリップの攻撃を防いでいた超ウザイナーだが、五人のコンビネーションに圧され、徐々に身体に蔦が巻き着き、動きを封じられていった。
咲「ブライト!」
舞「ウィンディ!」
紡「今です!」
ブライトとウィンディが手を繋ぎ、目を瞑る。
二人の掲げた掌に精霊の力が集う。
薫「精霊の光よ!命の輝きよ!」
満「希望へ導け!二つの心!」
満薫「プリキュア・スパイラルスター」
満薫「スプラーーーーーーーーッシュ!!」
ブライトとウィンディの両手から放たれた光の渦が超ウザイナーを包み込む。
超「チョ、チョ~、ウザイナ~」
光の渦に巻き込まれた超ウザイナーは元の岩に戻っていった。
舞「薫さん、大丈夫?」
変身を解いた咲、舞、紡、フラッピ、チョッピが満と薫達に合流した。
薫「大丈夫よ。心配しないで」
咲「うえええ…、あんな奴に顔を舐められるなんて、私だったら耐えられないよ~」
満「それよりも、あのカーボニウムと名乗った男、只者ではないわ」
薫「ええ…、まるで鉱石を殴っている様な感じだったわ」
舞「私達の攻撃も通用しなかった…」
満「イリジウムにネオジム、そしてカーボニウム…」
チョッピ「紡、ネオ・ダークフォールのメンバーはこの三人だけチョピ?」
紡「分かりません。私もネオ・ダークフォールの幹部を全員知ってる訳ではありませんから…。ただ、博士の話によるとまだ数人の幹部がいるはずです」
紡「(それに…、あの女も…)」
紡の目に一瞬憎しみが宿る。
薫「…」
咲「あんなのがまだ他にいるの!?トホホ…。あんな変態とは戦いたくないナリ~」
満「しかもアイツは本気じゃなかった…」
紡「はい…。先日のネオジムと名乗った怪人も、まるで戦いを楽しんでいる様でした」
その場に重い空気が漂う。
確かに今回もカーボニウムが自ら引かなければ、果たして勝てていたかどうか。
実際に戦った彼女達には、それがよく分かっていた。
フラッピ「大丈夫ラピ!プリキュアは伝説の戦士ラピ!誰にも負けないラピ!」
ムープ「負けないムプ!」
フープ「負けないププ~!」
ムープとフープがそう言って咲達の周りを飛び回る。
舞「そうね。心配してたって仕方ないものね」
咲「お!舞から、そんな頼もしい言葉が聞けるとは!やっぱ、美術部副部長になると違うね~」
満「そんな事言ったら、咲だってソフトボール部キャプテンでしょ」
咲「そうだったナリ~」
咲舞満「あはははは…」
咲や精霊達が笑顔を取り戻す中、紡だけは暗い表情のままだった。
紡「(このままでは勝てない…。やはり、あの力が使えないと…)」
薫「…」
そんな紡を薫は心配そうに見つめていた。
キャスト
日向咲(キュアブルーム)/声:樹元オリエ
美翔舞(キュアイーグレット)/声:榎本温子
霧生満(キュアブライト)/声:渕崎ゆり子
霧生薫(キュアウィンディ)/声:岡村明美
フラッピ/声:山口勝平
チョッピ/声:松来未祐
ムープ/声:渕崎ゆり子
フープ/声:岡村明美
紡(フェアリーリップ)/声:斎藤千和
イリジウム77/声:小山力也
カーボニウム6/声:高木渉
ネオジム60/声:堀秀行
超ウザイナー/声:渡辺英雄
第6話「幹部集合!これが敵ネオ・ダークフォール」へ続く
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