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 「映画プリキュアオールスターズDX3 ディレクターズカット」




 「ブラックホール」の僕(しもべ)達によって破壊され尽くした海辺の街をショッピングモールの屋上から見つめる星野健太や宮迫学を始めとする
 街の人々と、様々な世界からやってきた妖精達の姿があった。

 そこに佇む者達には、まるでこの無残な光景が果てしなく広がっているかの様に思えていた。

 「地球が…」


 「一体どうなってるの…?」


 力無く発した、健太と宮迫の言葉が全てを物語っていた。

 そこにいる誰の表情にも恐怖と不安、そして絶望が浮かび上がっていた。
 あの二人を除いては。

 「薫お姉さん…!」
 不安に駆られたみのりが、この光景から目を逸らすかの様に薫の腰にしがみ付いてきた。


 「大丈夫よ…。みのりちゃん…。プリキュアがきっと助けてくれるわ」

 薫が腰を落とし、みのりをそっと抱き締める。

 その時、満が街の中で光る何かを見付けた。

 「薫!」


 その声に薫が立ち上がり、街を見ると、また何かが光った。

 それを見た薫が黙って頷く。

 「星野君」


 満が健太を呼んだ。

 「どうした?霧生」


 健太が満と薫、そしてみのりの下にやってきた。

 「少しだけみのりちゃんを見ていてほしいの」


 「お、おお…」


 薫が、そう言ってみのりを健太に預けた。


 「薫お姉さん…」


 しかし、みのりは不安そうな表情を浮かべていた。
 それに気付いた薫が再び腰を落とし、みのりに優しく語りかける。


 「大丈夫よ。みのりちゃん。ちょっと街の様子を見てくるだけだから」


 「直ぐに戻ってくるわ。ここで星野君と待っててね」


 薫の優しい微笑みに不安な気持ちを押さえながら頷くみのり。

 それを見届けた満と薫は破壊された街へと足を向けた。


 「逃げるニャ~!」


 そこには「ブラックホール」の僕(しもべ)達によって破壊された海辺の街の中を、シャドウの鏡を担いで逃げ回るハミィを始めとする
 妖精達の姿があった。

 そんな妖精達をからかう様に追い回すシャドウ。

 「お待ちなさぁあい!」


 先回りしたシャドウに先頭を走っていたハミィがぶつかって倒れると、その後に続いていた妖精達もドミノの様に倒れていった。


 「わぁ~!!」


 妖精達が目の前に立ちはだかるシャドウに気付いた。

 「はっ!?」


 「フフフッ…、さあ~、鏡を返しなさぁあい!」


 そう言いながら、精霊達に手を伸ばすシャドウ。


 「わあ~!!」


 転倒し、追い詰められた妖精達が慌てふためく。

 そんな中、シフォンが声を上げた。

 「ミリャクリュライト~!」


 「ニャ…?そうニャ!ミラクルライトには、闇を追い払う力があるはずニャ!みんな~っ!」


 「何ぃい!?」


 立場が一気に逆転し、シャドウの表情が一変した。

 ハミィの掛け声を合図に妖精達がミラクルライトを掲げた。

 「ミラクルライト~!!!」


 その声と共にミラクルライトの先端の星が輝き始める。


 「いやぁあああん!!あっ、それだけはっ!あっ、やられるぅううう」


 シャドウはミラクルライトの光に怯え、慌てふためいた。

 しかし。

 「あん?」


 シャドウには何処にもやられた様子はなかった。


 「えっ?」


 「どういう事や!?」


 「ライトの力が弱まってるナツ…」


 「光のエネルギーが足りないココ…」


 さっきまでの失態に頬を染めるシャドウ。


 「ふん…!」


 しかし、直ぐに以前のプライドに満ちた傲慢な態度を取り戻した。


 「そうよ!」


 「え?」


 プライドを取り戻したシャドウの声に、困惑していた妖精達が振り向いた。


 「ブラックホール様のお力で、プリズムフラワーが弱ってるからねぇ。さあ!鏡を返しなさぁい…」


 地面に落ちている鏡に手を伸ばすシャドウ。

 慌てふためく妖精達の中、ルルンがその鏡にしがみ付いた。

 「いや~!」


 「ニャだあ~!」


 ハミィ、ココ、ナッツもそれにしがみ付こうとするが、シャドウの手の方が早かった。

 シャドウが鏡にしがみ付くルルンを強引に引き剥がそうとする。

 「無駄よ!世界はもう元には戻らない…。プリズムフラワーの力の意味…、アンタ達も知ってるんでしょぉおお?」


 シャドウのその言葉に動揺するココとナッツ。


 「フフフ…、ほらさっさと放しなさぁああい」


 シャドウが鏡にしがみ付いているルルンを引き剥がそうとするが、ルルンは必死にしがみ付き、決して離そうとしない。


 「いやルル!いやルル~!」


 決して鏡を離そうとしないルルンの必死な姿を見た妖精達がシャドウに飛びかかった。


 「ルルンを放すニャ!」


 しかし、小さな妖精達ではシャドウの足元に飛びかかるのが精一杯だった。


 「鬱陶しぃいい!」


 「ニャプ~」


 シャドウが軽く足を掃っただけで、妖精達はあっさり振り払われてしまった。

 そして、シャドウは強引に鏡からルルンを引き剥がした。

 「ルル~!」


 それでも、シャドウに首根っこを掴まれたまま必死に抵抗するルルン。
 その姿を見たシャドウの口元が歪んだ。


 「よくも邪魔してくれたわねぇええ!」


 シャドウはルルンを地面へ叩きつけようと、ルルンを掴んだ腕を振り上げた。


 「ルルン!!!」


 妖精達がルルンを救おうとシャドウの下に駆け寄ろうとする。

 だが、間に合いそうにない。

 「ルル~!!」


 ルルンの悲痛な叫びが木霊した。


 その時だった。

 シャドウの顔面を赤黒い光の弾が直撃した。

 「ガァアアッ!!」


 シャドウは思わず両手で顔を庇う。

 その手からルルンと鏡が零れ落ち、宙に舞った。
 妖精達が滑り込む様に、ルルンと鏡を地面に落ちる寸前でキャッチした。

 「だっ!誰だい!?」


 自慢の顔を傷付けられたシャドウの声は、怒りに震えていた。


 「みちりゅ…!」


 「かおりゅ…!」


 ムープとフープが光弾を放った人物を見て言った。

 その瞳からは安堵の涙が溢れ出ていた。
 そこには「ダークフォール」の戦闘服に身を包んだ満と薫が立っていたのだった。

 「満…、薫…、助かったココ!」


 「貴方達は鏡を持って逃げなさい!」


 「ここは私達に任せて」


 満と薫の言葉に頷いた精霊達が再び鏡を持って逃げ出した。


 「この私の顔を…。おのれ…!おのれ…!!おのれぇぇぇえええ!!!」


 そこには、今までの様な余裕の笑みを浮かべたシャドウの姿は何処にもなかった。
 鏡を担いで逃げるココとナッツの脳裏に、「鏡の国」での恐怖が蘇る。
 怒りの表情に歪んだシャドウが満と薫に襲いかかった。


 「くっ!!」


 満と薫がシャドウの攻撃に身構え様とするが、シャドウから発せられた希薄に二人の動きが一瞬遅れた。
 それが命取りとなる。


 「あああっ!」


 シャドウの鋭い一撃を受けて、満が吹き飛んだ。


 「フッ!」


 薫が満に気を取られた瞬間、シャドウの手から放たれた衝撃波によって薫も吹き飛ばされる。


 「たああ!」


 すぐさま体勢を立て直した満が反撃を試みるが、シャドウの手から放たれた魔方陣によって動きを止められた。


 「満!」


 動きを止められた満を救おうと薫がシャドウに飛びかかる。


 「フンッ!」


 しかし、その攻撃をシャドウはカウンターで弾き返した。
 全てが後手後手だった。


 「きゃああ!!」


 「薫!」


 「かおりゅ~!」

 満は身体の動きを封じている魔方陣から脱出しようともがくが、手足が縛られた様に動かない。


 「他人の心配をしてる暇があるのかい…?アナタも消えなさぁあい!」


 そう言うとシャドウの正拳が満を打ち抜いた。


 「きゃあぁぁあああ!!!」


 満は瓦礫に打ちつけられながら、何回転も転がり、吹き飛んでいった。

 それはまるで、水面を撥ねる水切りの小石の様だった。

 「満~!!!」


 妖精達が悲痛な叫びを上げるが、吹き飛ばされた満はピクリとも動かない。


 「みちりゅ~!起きるムプ!起きるムプ!」


 ムープが泣きながら満の所に飛んでいき、満の頬を叩いたが、満は全く反応しない。


 「み、みち…る…」


 薫がよろよろと起き上がる。


 「ゆる…さない…」


 「許さない?ンフフフフ…!今のアンタに何が出来るって言うのさ」


 シャドウの掌から、先程満を封じ込めた魔方陣が再び浮かび上がり、今度は薫の身体を封じ込めた。
 立ち上がる事さえやっとな薫には、それを避ける力は残されていなかった。

 そして、魔方陣によって身動きが取れなくなった薫にシャドウがパンチの連打を浴びせる。

 「フハハハハハ!!」


 シャドウは笑いながら、抵抗出来ない薫をサンドバックを殴る様に一方的に打ち続けた。


 「ぐっ…!がっ…!うっ…!」


 「かおりゅ~!」


 圧倒的なシャドウの力だった。
 それでもフープは薫を助けようと、シャドウに向かって行った。

 他の妖精達もフープに続いた。

 「薫を離すニャ!」


 「薫を離すですぅ!」


 「あぁあ?鬱陶しぃい!!」


 しかし、シャドウの腕の一振りで、妖精達は吹き飛ばされてしまった。


 「ああああ~!!」


 「キュアドリーム」達をも窮地に追い込んだシャドウの力と、満、薫の力の差は歴然だった。


 その時、妖精達が持っていた鏡が地面に落ち、その内の二枚が向かい合わせに並んで地面に突き刺さった。

 そして、地面に突き刺さった鏡と鏡の間に、シャドウによって払い落されたシロップが飛び込んできた。

 「ロプ…」


 起き上がろうとしたシロップが鏡を見た時、そこにあったのは合わせ鏡の中に映る無数の自分の姿だった。
 それを見たシロップの脳裏にある事が浮かび上がった。


 「そうか!合わせ鏡ロプ!」


 シロップが鏡の角度を調整してミラクルライトを灯した。

 するとシャドウに向けて、複数のミラクルライトの光が放たれた。

 「ぐわっ!」


 ミラクルライトの光を浴びたシャドウが苦しみ、薫を打つ手が止まった。

 そして、薫を封じ込めていた魔方陣が消え、解き放たれた薫は地面に倒れ込んだ。

 「そ、そうや、みんな、鏡を合わせるんや!」


 「成る程!その手があったココ!」


 鏡を合わせ鏡の様に並べた間に妖精達が並び、再びミラクルライトを灯した。


 「みんな!ミラクルライトを点けて、満と薫を助けるですぅ!」


 合わせ鏡の中に無数に写り込んだ妖精達とミラクルライトの光が溢れる。

 「満と薫に力を~!」


 ココの言葉に他の妖精達が続く。


 「満と薫に力を~!!!」


 そして、その一帯をミラクルライトの光が包み込んだ。


 「ぐわぁぁあ!!!」


 ミラクルライトの光の眩しさに、苦しむシャドウ。

 その暖かい光に、気を失っていた満と薫の目が僅かに開いた。

 「かおりゅとみちりゅを!」


 「助けるププ~!」


 廃墟となった街をミラクルライトの光が包み込んだ。


 そして、徐々に弱まっていくミラクルライトの光の中に二人のシルエットが浮かび上がった。

 それは、月の力を得た満と風の力を得た薫の蘇った姿だった。
 二人のコスチュームの胸の部分には、月と風の印が輝いていた。


 「みちりゅ~!」


 「かおりゅ~!」


 二人の姿を見た妖精達に歓喜の声が上がった。


 満と薫の鋭い視線が、シャドウを打ち抜く。


 「姿が変わったからといって、貴様らの力で…」


 シャドウが喋り終わる前に、満と薫がシャドウの視界から消えた。
 「何っ!?」


 そして次の瞬間、シャドウの目に映ったのは、自分の懐に入った二人の姿だった。

 「ちょっ!まっ!」


 「はあぁぁあ!!」


 満と薫の怒涛のコンビネーションがシャドウを徐々に追い詰める。

 満の渾身のパンチを両手で受け止めるシャドウ。

 シャドウの表情に笑みが浮かんだ直後、シャドウの表情が一変した。
 満のもう片方の掌には、月の光が集まっていたのだ。

 「月の光よ!はあぁぁあ!」


 満が放った光弾を超至近距離から鳩尾に受けたシャドウの身体が、その衝撃で宙に浮いた。


 「カハッ!!」


 その一撃で、肺の中の全ての空気を強制的に吐き出さされたシャドウの表情が歪む。

 だが、満の攻撃は、それで終わりではなかった。
 満の一撃によって宙に浮いたシャドウの身体に、満の両手からパンチの連打が繰り出された。
 それはまるで、地面に倒れる事さえ許そうとしない満の連打だった。

 「てやぁあああああ!はあぁ!!」


 満の渾身の一撃に吹き飛ぶシャドウ。

 しかし、シャドウも直ぐに体勢を立て直す。

 「クッ!!」


 だが、そこに両手に風の力を集めた薫が待ち構えていた。

 両方の掌には風が渦を巻いていた。
 それを見たシャドウの顔が青ざめる。


 「天空の風よ!」


 その掛け声と共に薫が風の力の渦巻く両手を前に突き出した時、その力は一つとなり、竜巻へと変化した。


 「ふっ!」


 薫の気合と共に両手から放たれた竜巻は、周りの瓦礫をも呑み込みながらシャドウを直撃した。


 「アアァア!?ウワァァァアアアア!!」


 その直撃を受けたシャドウが、プロペラの様に回転しながら吹き飛んでいった。

 そして、シャドウが吹き飛んでいった先の瓦礫の山からは、巨大な土煙が舞い上がった。

 「やったニャ!」


 手を取り喜び合う妖精達。


 「ムプ~!」


 「ププ~!」


 ムープとフープが泣きながら満と薫の下に飛んで来た。


 しかし。


 「アアアァァァア!!!ウワアァァァア!!」


 土煙の中からシャドウが現れ、雄叫びを上げた。


 「くっ!!」


 満と薫が再び身構える。

 怒りに顔を歪めたシャドウが一歩一歩、満と薫に近づいてきた。

 「貴様らだけは…!貴様らだけは…、私が…始末してやるぅぅうう!!」


 シャドウの右目の中の魔方陣が輝くと、シャドウの足元に巨大な魔方陣が浮かび上がった。

 その魔方陣から不気味な光が放たれる。

 「あああぁ…!!!」


 その不気味な光に怯える妖精達。

 不気味な光を放ち続ける魔方陣の中でシャドウの姿が変化していく。

 「ハァァァアア!!!ウゥゥゥウウ!!!ハァァアアアアア!!!!!」


 そして、その不気味な光が砕け散った後にいたのは、巨大な鬼の様な姿になったシャドウだった。

 巨大化したシャドウの繰り出した蹴りによって吹き飛ぶ満と薫、ムープとフープ。

 「きゃあぁぁああ!!」


 他の妖精達も吹き飛ばされない様、必死に瓦礫にしがみ付く。


 「貴様らがどんなに粘ろうが、プリキュア達は戻ってこない…!これからは…、ブラックホール様が支配する混沌の世界が訪れるのだぁあああ!!」


 シャドウの放った言葉で、辺りに暴風が吹き荒れた。


 「そんな…事は…ない」


 そんな中、満がよろよろと起き上がる。


 「咲や舞…、みんなは必ず戻ってくる…」


 満に続いて、薫も起き上がる。


 「それが…」


 「プリキュアの…、ううん…」


 「友達との絆!!」


 圧倒的に不利な状況にも係わらず、満と薫の信念の宿った鋭い視線が再びシャドウを貫いた。


 「ウォオオオオオ!!!」


 その視線に抗うかの様に、シャドウが雄叫びを上げた。


 「満と薫を助けるナツ!」


 精霊達が再びミラクルライトを灯した。

 だが、その光は前より更に弱々しい。
 それは、まるで消えゆこうとする命の様にも見えた。

 「ミラクルライトの光を一点に集めるココ!」


 タルトやナッツ、シロップが鏡の角度を再び調整すると、巨大なシャドウの目の位置にミラクルライトの光が集まった。

 その僅かな光がシャドウの右目を貫いた。

 「ギャァアアア!目がっ!目がぁぁあああ!!」


 シャドウが両手でミラクルライトの光から目を庇った。



 その刹那、満と薫が黄色と水色の軌跡の螺旋を描きながら、空高く舞い上がった。
 二人の眼下には「ブラックホール」の僕(しもべ)達によって破壊された街が広がっている。
 無残な姿となった街を見た満と薫の瞳に力が宿った。

 「天空の風よ!」


 満より高く舞い上がった薫の声と共に、両手から放たれた風が渦を巻く。

 そして、薫の下に位置している満の両手からは、月の光が溢れる。
 その溢れ出した光が、レンズの様な形を模った。

 「月の光よ!」


 満の掛け声と共に、その光のレンズが倍、倍、倍と巨大化していく。
 そのレンズの大きさは既に直径50メートル程にまで達していた。

 その時、その巨大な光のレンズに、薫から放たれた風の力が加わった。
 そして。

 「はぁああああああああああ!!」


 二人の掛け声と共に、そのレンズから発せられた巨大な光の弾が地上にいるシャドウに向かって放たれた。


 やっと開く事が出来たシャドウの目に最後に映ったのは、天空から放たれた巨大な眩い光だった。

 「おのれぇえええええ!!」


 シャドウの身体が、その巨大な光に包まれ、そして消えていった。



 満と薫はミラクルライトの力を全て使い切った為か、普段の私服姿に戻っていた。

 そして力無く、片膝を着いた。

 「みちりゅ~!」


 「かおりゅ~!」


 満と薫の胸に飛び込むムープとフープ。


 「大丈夫よ」

 「ちょっと疲れただけだから」


 心配そうな表情を浮かべるムープとフープに満と薫が微笑んで見せた。

 手を取り合って喜ぶ妖精達の中、ナッツだけは不安な表情を浮かべていた。

 「でも、ライトの光が、どんどん弱くなっているナツ…」


 確かにナッツや妖精達が手にしているミラクルライトの光が、ますます弱くなっていた。


 「ところで、あいつが言うとったプリズムフラワーの意味って?」

 タルトの問いかけに、シロップが力無く答える。


 「プリズムフラワーは、世界を結ぶ力そのものロプ…。もし、その力がなくなったら…、シロップ達は、この世界にいられなくなるロプ…」


 「ええ~っ!?」


 シロップの言葉に驚く妖精達。


 「じゃあ、もしプリズムフラワーがなくなったら…」


 「えりか達とお別れしないといけないですか~!?」


 シプレとコフレが今にも泣き出しそうな表情で言った。


 「そんなの嫌ムプ(ププ)!」


 ムープとフープが泣きながら、再び満と薫の胸に顔を埋めた。


 「お別れしたくないでしゅ~!」


 ポプリもムープとフープにつられ、泣い始めた。

 そこにいる妖精、誰もが不安な表情を浮かべていた。

 そんな中、ココが闇に覆われた空を見上げながら、語り始めた。

 「プリズムフラワーは…」


 ココは故郷の「パルミエ王国」に思いを馳せる。

 そこには、シロップに乗って空を飛ぶココ、ナッツ、ミルク、そして彼らに笑顔で手を振るパルミエ王国に住む精霊達の姿があった。

 「ココ達の住む世界と…、のぞみ達が住む世界を繋ぐ、光のエネルギー空間の力の事ココ…。もしそれが奪われたら…」


 シロップ達がプリズムフラワーによって作り出された空間を抜けると、そこにはアクセサリーショップ「ナッツハウス」で手を振るのぞみ達、
 プリキュアの姿があった。


 「もう二度と、のぞみ達とは会えなくなってしまうココ…」


 「ココ…」


 今後、襲い来るであろう残酷な現実に肩を落とし、落ち込むココにナッツが声を掛ける。


 「信じるナツ…」


 その声にココが振り向く。


 「ココ?」


 そこにはプリキュアが消えていった暗黒の空を見上げるナッツの姿があった。


 「プリキュアを…。みんなを…、信じるナツ」


 ナッツの言葉に促される様に、妖精達、そして満と薫は空を見上げた。

 その空に、今までプリキュアに何度も訪れた危機、そしてそれに立ち向かい、乗り越えてきたプリキュアの姿が浮かび上がった。

 そんな姿を思い出した妖精達の表情からは、先程までの不安な気持ちが少しずつ、少しずつ消えて行き、そこには小さな希望が芽生え始めていた。

 「絶対に…」


 「諦めない…」


 プリキュア達の消えた空を見上げながら、満と薫がそう呟いた。






 キャスト

 「スイートプリキュア♪」
 ハミィ/三石琴乃

 「ハートキャッチプリキュア!」
 シフレ/川田妙子
 コフレ/くまいもとこ
 ポプリ/菊池こころ

 「フレッシュプリキュア!」
 シフォン/こおろぎさとみ
 タルト/松野太紀

 「Yes!プリキュア5 GoGo!」
 ココ/草尾毅
 ナツ/入野自由
 シロップ/朴璐美

 「ふたりはプリキュア スプラッシュ☆スター」
 霧生満/渕崎ゆり子
 霧生薫/岡村明美
 日向みのり/齋藤彩夏
 星野健太/竹内順子
 宮迫学/入野自由

 「ふたりはプリキュア マックスハート」
 ルルン/谷井あすか





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